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10代の頃から冬は酒蔵で働いて
酒造りの仕事は、高砂に入る前に別の造り酒屋で7年ほど経験してたから、もう長いね。きっかけは、友達に紹介されて。農家だから夏場は農業やって、今は土木の方が多いけどね、冬場は酒蔵で働いて。それまでは酒蔵で地元の人を使うってことはあんまりなくて、杜氏さんが自分で蔵人を連れてきてた。だから農家でこうして冬場は蔵で働くっていうのは、自分らが最初の世代じゃないかな。
長年の経験とカンが勝負
搾り作業の頭(かしら)をやる人は、船頭さんって呼ばれる。昔は、もろみを入れてた木の桶が舟の形をしてたからさ。今はじゃばらの格好をした機械(圧搾機)で搾るんだけどね。でも、機械で搾るとはいってもコンピューターがやってくれるわけじゃないから、搾り具合を調整するのは全部人間。もろみを搾る機械には全部で180段の板があるんだけど、それを160段にしようか、170段にしようかっていうような微調整を常にしないとなんない。もろみの濃さによって変えるんだ。板の枚数を多くするとそれだけ濾過が速くなるけども、粕が剥けなくなって残っちゃうから無駄も出る。だから毎朝毎晩、櫂(かい)つけやって、手の感覚でもろみの発酵具合をわかっておくの。もろみは生き物だから、タンクタンクで違うからね。あと、酒によっても搾り方は違ってくる。
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普通酒なら要らない成分が出ないぎりぎりのところまで搾るとか、吟醸ならできるだけ圧がかからないようにスッと入って抜けてくようにしてもろみを残すとか、搾りは圧の加減が大事。それをちゃんとやらないと雑味が多くなってガラが悪い酒になるのさ。搾った後に残った酒粕は全部きれいにかき集めて、量って詰めて出荷してます。
昔と今の高砂の酒造りを比べて
西杜氏が来てから、高砂の酒は変わったよ。それまでとは造り方が全然違う。もろみだね、一番は。やること一つ一つにしてもみんなにきっちり教えてくれるし、気配りもしてくれるから、安心して働ける。昔は杜氏さんって現場仕事の細かいことはあんまりしなかったもんなんだよ。でも今は杜氏さんも一緒になって労働仕事も手伝ってくれるしね。そこでまず、もう全然違う。同じ蔵人で造ってもね、杜氏さんが変わると、できる酒って本当に違ってくるもんなんだよ。
アイスドームを造って搾る
毎年、1月中旬から下旬にかけてアイスドームを造る仕事もやってます。みんなでね。今年は暖冬で1月27日になってしまったけどね。作業は8人くらいでやります。自分達搾り担当はアイスドームの土台造り。雪で造って、ドームの形にするための風船を引っ張るロープのアンカーを置いて、水撒きして凍らして。徹夜だよ。
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2人1組でやるんだけど15分位で交替しないとなんないの、寒いから。凍らしては水撒いて、また凍らしてって繰り返すから3日くらいかかるね。マイナス20度だと2日でできるけど、マイナス15度切ると3日くらいかかる。そして完成したアイスドームの中に酒袋を吊るすんだけど、その時は圧はまったくかけない。一晩かけて自然に雫が落ちるのを待つの。酒袋1袋に15〜16リットルのもろみが入るんだけど、酒にとれるのは5リットルくらい。3分の1弱くらいだね。普通酒は8割くらい酒にとれるわけだから、アイスドームで搾る酒は贅沢な酒だよね。
酒が好き、酒造りが好き
毎年、11月から蔵に入って3月の中頃まで働くんだけど、最後の作業を見届けて、「ああ今年も終わったな」って思うのがやりがいかもしれないね。酒が好きだし、日本酒は特に好きだね。高砂の酒で一番好きなのは「烈」だなぁ。おいしいよ「烈」。家で飲んでる。一升瓶じゃなく、10リットル入る袋(テナー)で置いておいて、ちょっとずつ移し替えては飲んでるよ(笑)。
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